ボイジャー1号と2号に積まれたゴールデンレコードの内容、現在地や速度を紹介

ボイジャー2号 人類の宇宙開発
Artist's concept of Voyager in flight.

NASAが打ち上げた探査機ボイジャー1号と2号は、共に太陽系を離脱し、深淵なる宇宙のかなたに向かって飛行を続けています。

ボイジャーで特筆すべきは、宇宙人に向けたメッセージを盛り込んだゴールデンレコードを搭載していること。

このゴールデンレコードの内容はどんなものなのか?

ボイジャーの現在地や速度と合わせてご紹介します。

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NASAのボイジャー計画とは

ボイジャー計画は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) による太陽系の外惑星および太陽系外の探査計画のことをいいます。

また、惑星配置の関係から木星、土星、天王星、海王星の4つを探査することも目的に含まれていました。

ボイジャー計画として打ち上げられたのは、探査機ボイジャー1号とボイジャー2号。

いずれも1977年に打ち上げが実行されており、これまで多くの発見をもたらしています。

さらに、ボイジャー1号とボイジャー2号は、宇宙人に向けたメッセージ(ゴールデンレコード)を搭載。

宇宙人がそれを入手した場合、人類とのコンタクトが取れるように工夫されています。

ボイジャー1号の現在地や速度

ボイジャー1号の位置

*2024年10月のボイジャー1号の位置(出典:Mission Status)

1977年9月5日に打上げられたボイジャー1号の当初の目標は、木星と土星およびそれらに付随する衛星と環の探査でした。

それを成し遂げたボイジャー1号は、2012年6月、太陽系の境界付近に到達。

NASAによると、同年8月25日頃から太陽圏(ヘリオスフィア)を脱出し、星間空間の航行に入ったとのことです。

そんなボイジャー1号の現在地と速度は以下の通りです。(2025年2月時点)

●現在地:地球からへびつかい座の方向へ167.45auの距離

*1au(天文単位)=太陽から地球までの距離=約1億5000万km

●速度:38,266.77mph

*mph=1時間あたりの進行マイル 1マイル=1.60934km

なお、ボイジャー1号からの信号がNASAジェット推進研究所の管制センターに届くまでには、光速でも17時間21分56秒かかります。

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ボイジャー1号の探査結果

太陽系を離脱する前、ボイジャー1号は、木星、土星の2つと、これらの衛星について探査を行いました。

木星探査

ボイジャー1号は1979年1月に木星の写真撮影を開始。

同年3月5日には木星の中心から34万9000kmの距離まで近づきました。

この時、木星の衛星や環、木星系の磁場や放射線環境などの観測を実施

木星の衛星イオで火山活動が起きていることを確認するなど、数多くの重要な発見をもたらしました。

土星の探査結果

ボイジャー1号が土星をフライバイしたのは、1980年11月のこと。

同年11月12日には、土星表面から12万4千km以内にまで接近しました。

この探査で、土星の環の構造が判明

さらに土星の衛星タイタンを調査し、大気が濃いことを再確認しています。

なお、当初は冥王星の探査も行う予定でしたが、ボイジャー1号の打ち上げ後に冥王星が予想以上に小さいことが判明。

そのため、冥王星には接近しないまま星間空間の航行に移行しました。

また、ボイジャー1号は約4万年後にグリーゼ445から約1.7光年の距離まで接近。

約5万6000年後にはオールトの雲(太陽系の外側を球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群)を脱出する予定です。

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ボイジャー2号の現在地や速度

ボイジャー2号

Artist’s concept of Voyager in flight.

ボイジャー2号は、1977年8月20日に打ち上げられました。

その後、2018年11月5日に太陽圏を離脱して恒星間空間に到達しています。

そんなボイジャー2号の現在地と速度は以下の通りです。

●現在地:地球からシリウス方面へ140.47auの距離

*1au(天文単位)=太陽から地球までの距離=約1億5000万km

●速度:34,390.98mph

*mph=1時間あたりの進行マイル 1マイル=1.60934km

ちなみに、ボイジャー2号が順調に飛行を続けた場合、約29万6000年後にシリウスから4.3光年の地点を通過する予定ですが、シリウスは寿命が近い(あるいはすでに消滅している)と言われており、その頃まで存在しているかは分かりません。

ボイジャー2号の探査結果

ボイジャー2号は、現在木星よりも遠くの外惑星及び衛星の探査を目的として運用されています。

とはいえ、太陽圏を離脱する前は、木星、土星、天王星、海王星の4つを探査。

それにより新しい発見が次々とありました。

木星の探査結果

ボイジャー2号が木星に最接近したのは1979年7月9のこと。

この時の観測で、木星の大赤斑が反時計回りに回転していることが判明しています。

また、木星の新たな衛星アドラステアを発見しました。

土星の探査結果

ボイジャー2号は1981年8月25日に土星に最接近。

その後、地球から見て土星の裏側にいる際に上層大気の観測を行い、温度と密度分布を測定しました。

この観測により、土星の大気の最上部での温度が70Kで、最下層部の温度は 143Kに上昇していることが判明。

また、北極では他の部分に比べて温度が約10Kも低いことが分かりました。(季節によって変動している可能性もある)

天王星の探査結果

天王星への最接近は1986年1月24日に行われました。

その際、天王星に磁場が存在することが判明

また、未知の衛星を新たに10個発見しています。

さらに、すでに発見されていた衛星ミランダについては、20km以上におよぶ巨大な渓谷を含む複雑な地形を観測

これは過去の大規模な地殻変動が原因だと考えられています。

なお、当初の予定では、ボイジャー2号のミッションは土星探査まででしたが、関係者による粘り強い交渉の結果、予算が承認され、天王星と海王星の探査が追加されました。

海王星の探査結果

1989年8月25日、ボイジャー2号は海王星に最接近。

2025年に至るまで、海王星を訪れた探査機はボイジャー2号だけです。

これにより、海王星は太陽から受ける熱より多く熱を放射していることが分かっています。

また、海王星の環が同心円状で一周していることも確認されました。

その他、海王星表面に大暗斑があることも発見

ただし、1994年にハッブル宇宙望遠鏡が海王星を観測した時には、この大暗斑は消失していました。(消失の原因は不明)

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ボイジャー1号と2号のバッテリーはいつまでもつのか?

ボイジャー1号と2号は、3個の原子力電池をバッテリーとしています。

このバッテリーは当初の想定を超えて長持ちしており、少なくとも2025年までは電気の供給が可能。

バッテリーに予備電力も使えば、2026年まで惑星間空間探査を継続できることが分かっています。

ただし、1977年当時に470Wだった供給能力は2008年の時点で285Wまで低下しています。

ボイジャーにはトラブルも多い

すでに50年近くも運用されており、その間常に放射線に晒されているボイジャーですから、トラブルもしばしば起きています。

たとえば2023年11月には、得られたデータが解読不能という不具合が発生。

データの取得を再開させるのに半年以上かかる事態になりました。

続く2024年10月には、通信を担うXバンド送信機が停止しています。

これは電力低下対策としてヒーターを停止させたことが影響していると思われます。

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宇宙人に向けてゴールデンレコードが搭載された

NASAはボイジャーに先駆けて1972年にパイオニア10号、続く1973年にパイオニア11号を打ち上げました。

この2機に搭載されたのが、地球の位置を示す図やパイオニア号の予定飛行ルート、裸の男女の絵(男性は手を挙げて挨拶している)等を記載した金属板です。

これはNASAがコーネル大学のカール・セーガンに発注して作らせたもの。

もちろん、パイオニア号が宇宙人に遭遇するのを想定してのことです。

そして、5年後に打ち上げられたボイジャー1号と2号には、地球の生命や文化を伝えるためのレコードが搭載されました

レコード本体(銅製)に金メッキが施されているため、俗にゴールデンレコードと呼ばれています。

ゴールデンレコードの内容

ゴールデンレコード

ゴールデンレコードの製作は、パイオニア号の時に続いてカール・セーガンが担当。

その内容は、115枚の画像と波、風、雷、動物の鳴き声などの自然音、様々な文化や時代の音楽、55種類の言語のあいさつ、ジミー・カーター大統領と国際連合事務総長クルト・ヴァルトハイムからのメッセージ文などです。

これらの中で興味深いのは、「軌道上から見たエジプト・シナイ半島の写真」「地球の大気組成表」「シュメール語(アッカド語)のあいさつ文」です。

まず、エジプト・シナイ半島といえば古代文明が栄え、大ピラミッドなどの歴史的建造物がある場所。

あえてその場所の写真を宇宙人に見せる理由は、古代文明の発展に宇宙人が関与しており、NASAがそれを知っていたからかもしれません。

次に、シュメール語のあいさつ文を載せているという点も不自然です。

言語は相手に伝わってこそ意味を成すわけで、約6000年前の言語であるシュメール語を使うのは、それなら宇宙人に通じると考えたからかもしれません。

つまり、NASAはシュメール文明と宇宙人の間に何らかの繋がりがあると考えていた可能性があるわけです。

ゴールデンレコードを発見する宇宙人が友好的とは限らない

ゴールデンレコードには、当時のアメリカ大統領ジミー・カーターによる挨拶文も掲載されています。

そこには、「われわれの友好が、広大で畏怖すべき宇宙に向かって示されています」との一文があるのですが・・・

それを発見する宇宙人が友好的だとは限りません。

仮に好戦的な宇宙人であった場合、危険な相手にわざわざ地球の情報を教えたことになります

NASAの内部でどんな議論があったのか分かりませんが、もしかすると非常にリスキーなことをしてしまったのかもしれません。

まとめ

この記事では、ボイジャー1号とボイジャー2号についてご紹介しました。

いずれも太陽圏を離脱しており、はるか遠くを飛行中。

いつの日かゴールデンレコードを回収した宇宙人から、何らかの返信があるかもしれません。

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