NASAやESAが発表したところによると、2032年12月22日に小惑星が地球に衝突する可能性があるそうです。
小惑星の名前は2024YR4。
映画「アルマゲドン」や「ディープインパクト」で描かれるほどではないものの、ツングースカ大爆発級の被害が予想されています。
この記事では、そんな2024YR4についてご紹介します。
<スポンサーリンク>
小惑星2024YR4が2032年に地球に衝突?
2024年12月27日、小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS; Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)が小惑星2024YR4を発見しました。
すぐに世界中の天文台が観測を開始。
1ヶ月後に出された軌道分析の結果によると、2024YR4は2032年12月22日に地球に衝突する可能性があるとのことです。
衝突する可能性があるのは、東南アジアからインド亜大陸、アフリカ大陸、南アメリカ大陸を結ぶ線上のどこか。
比較的海が多いエリアにはなりますが、この線上にお住まいの人は気が気でないでしょう。
小惑星2024YR4の密度や構成は不明。
銃弾の約15倍の速度で移動していて、万が一地球に衝突するとしたら、その時の速度は秒速17.3キロメートル程度になると言われています。
なお、小惑星2024YR4については、下のイメージ動画がよく出来ているのでご覧ください。
マヤ暦の終末予言と日付が似ている
小惑星2024YR4が地球に衝突するとすれば、それは2032年12月22日。
この日付をみて「マヤ暦の終末予言の日と似ている」と思った人もいることでしょう。
マヤ暦とは、マヤ文明が残した暦のことで、紀元前3114年8月13日に始まり、2012年12月21~23日で終わっています。
このことから、「2012年に地球が滅亡する」という噂が台頭し、同年はマヤ暦に関する書籍が軒並みヒットしました。
奇妙なのは、このマヤ暦が示す日付と小惑星2024YR4の衝突が危惧される日付が似ているということ。
20年のズレがあるとはいえ、どちらも12月22日(付近)であることから、底知れない不気味さを感じます。
もっとも、世界の終末についてはメディアが勝手に作り上げた話。
マヤの長老は「一つの時代が終わり、新しい時代が始まる時」と説明しています。
なお、マヤ暦に関しては、ドキュメンタリー番組「古代の宇宙人」(第33話)で詳しく紹介されています。
ESAの計算によると小惑星衝突の確率は1.2%
ESA(欧州宇宙機関)は、小惑星2024YR4と地球が衝突する確率は1.2%だと発表しました。
つまり98.8%の確率で衝突しないわけですが・・・
天体衝突に関する尺度である「トリノスケール」が2024YR4に対して史上2番目に大きな値(危険度)をつけたため、世界中が注目することになったのです。
NASAは衝突の確率を1%以上と試算
ESAとは別に小惑星2024YR4を分析していたNASA(アメリカ高級宇宙局)は、衝突の確率を1%以上と発表しました。
ESAの分析結果(1.2%)と概ね似ている値なので、やはり低いとはいえ衝突の可能性はあるようです。
もっとも、この値は2025年1月下旬時点のもの。
小惑星の衝突確率については分析がすすむにつれて下がっていき、最終的に「衝突しない」と結論付けられるのが通例です。
2024YR4についても同様で、1.2%という確率は徐々に下がっていくと思われます。
衝突の可能性に関する続報
NASAは2025年2月18日に、衝突する確率を3.1%と発表しましたが、その直後に新しいデータがみつかったとして翌日には1.5%に下方修正。
さらに2025年2月25日には、「2024YR4が2032年に地球に衝突する可能性は0.0017%」と発表。
ESAも0.002%と大幅に下方修正し、天体が地球に衝突する可能性を指標化した「トリノスケール」の評価も、10段階中で「0」になりました。 (当初の評価は3だった)
なお、NASAによると、2024YR4が月に衝突する可能性は1.7%あるそうです。
<スポンサーリンク>
小惑星2024YR4が衝突した場合、ツングースカ以上の被害か
小惑星2024YR4のサイズは、推定直径約55メートル、質量約22万トン。
これは1908年にロシアのツングースカ上空で大爆発した隕石とほぼ同じサイズです。
つまり、ツングースカ大爆発の威力が分かれば、小惑星2024YR4の衝突による被害もイメージできるということ。
そこで、ツングースカ大爆発についてご紹介していきます。
ツングースカ大爆発とは
ツングースカ大爆発とは、1908年6月30日7時2分(現地時間)頃、現・ロシア連邦クラスノヤルスク地方の上空で隕石によって起こった爆発のことです。
隕石が大気中で爆発したため空振が発生し、東京都とほぼ同じ面積の範囲の樹木がなぎ倒されたほか、1,000キロメートル離れた家の窓ガラスが割れました。
爆心地から半径30~50キロメートルの森林は炎上したと言われており、仮に住宅街であったとしたら数個の街が焼失した計算になります。
なお、ツングースカ大爆発によって生じたキノコ雲は、数百キロメートル離れた場所からも目撃されています。
小惑星2024YR4ではツングースカ以上の被害が想定される
ツングースカ大爆発によって放出されたエネルギーはTNT換算で5メガトンだったと言われています。
では小惑星2024YR4の場合はどうなのか?
2025年2月時点の分析結果によると、衝突によって放出されるエネルギー量は、5~50メガトンとのこと。
つまり、ツングースカ大爆発以上の破壊力ということになります。
ちなみに、5メガトンとは広島型原爆の約330倍。
都市部に衝突したとすれば、大惨事になることは間違いありません。
なお、ロシアでは2013年にも隕石による災害が発生。
チェリャビンスク州で起きたこの災害でも甚大な被害が発生しましたが、隕石の直径はわずか17mでした。
<スポンサーリンク>
生命の起源は小惑星に含まれていたアミノ酸か?
2024YR4クラスの小惑星が地球に衝突するのは、数千年に1回程度の確率だと言われています。
他方、ごく小さいサイズの隕石の衝突であれば、地球誕生以来、数え切れないほどあったと思われます。
そしてこの隕石の衝突が、地球に生命をもたらした可能性があるのです。
これはパンスペルミア仮説と呼ばれるもの。
隕石や彗星が地球に衝突した際、内部に含まれていたアミノ酸が燃え尽きずに残っており、それが生命の起源になったという説です。
以前は真面目にとりあってもらえなかったパンスペルミア仮説ですが、近年では生命の起源としてもっとも有力な説だと考えられるようになりました。
というのも、小惑星から持ち帰ったサンプルの中に、地球の生命が持つアミノ酸と同じものがみつかったから。
北海道大などの研究チームが、小惑星ベンヌから持ち帰ったサンプルを分析した結果、地球の生命が持つアミノ酸などが検出されたのです。
同じアミノ酸は「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルにも含まれていたため、宇宙にはアミノ酸を含む小惑星が多数存在していることが分かります。
宇宙人による繫殖計画かもしれない
小惑星のサンプルからアミノ酸がみつかったことは、パンスペルミア説が正しいことを示しています。
問題は、小惑星に含まれるアミノ酸はどうやってできたのかということ。
ビッグバンによって出来たという説がある一方で、一部の宇宙人・UFO研究家は、「宇宙人が繫殖のために、小惑星にアミノ酸を入れて飛ばしている」という説を唱えています。
無論、「その宇宙人の起源はどこにあるのか」という別の問題はあるわけですが・・・
一つの仮説としては非常に興味深いところです。
小惑星は侵略時にも効果的
宇宙人に小惑星を飛ばす技術があれば、それは繫殖だけでなく、他の星へ侵略する時にも使えます。
あるいは、侵略しないまでも、その星の生態系をいったんリセットするといった目的も考えられます。
これについて思い当たるのが、恐竜を絶滅に追い込んだとされるユカタン半島に落ちた隕石です。
この衝突によって、地球は爬虫類が支配する世界から哺乳類が支配する世界へと変わったわけで、もしかすると宇宙人が恐竜を絶滅させるために、意図的に隕石を落としたのかもしれません。
<スポンサーリンク>
衝突を回避する方法の確立は急務
宇宙人が絡んでいるかどうかは別として、小惑星は人類にとっての大きな脅威といえます。
事実、人類を滅亡させるほどの衝突が起きる可能性は一定数あると言われており、あとはそれが遅いか早いかの問題。
なので、衝突を回避する方法の確立は急務といえます。
2024YR4対策として宇宙船をぶつける案が検討されている
わずか1.2%とはいえ、小惑星が衝突する可能性があることは事実。
当然、万が一に備えて回避する方法を考えなければなりません。
そこで検討されているのが、小惑星2024YR4に宇宙船をぶつけるという方法。
宇宙船を十分に加速させてから小惑星2024YR4にぶつけることで、軌道を衝突コースから逸らすか、または小さく砕いてしまおうというのです。
幸い、小惑星2024YR4は直径55メートル程度。
映画「アルマゲドン」に登場するような巨大彗星ではないため、宇宙船を少し補強すれば成功する可能性は高いでしょう。
小惑星の衝突は人類にとって大きな脅威ですから、小惑星2024YR4の動向に関わらず、対策をきっちりととってほしいところです。
研究中の衝突回避方法
2024YR4対策としては採用されないかもしれませんが、小惑星による将来的な脅威に備えて、様々な方法が研究されています。
その主なものは、次の3つです。
- 核兵器などの強力な兵器で小惑星を破壊する
- 小惑星にロケットエンジンを取り付けて軌道を変える
- 小惑星の近くに質量のあるものを並走させ、その引力で軌道を変える
多くの人が考えるのが、核兵器による破壊でしょう。
ただし、小惑星が巨大だった場合は効果が薄くなるので、絶対的な衝突回避策にはなり得ません。
ロケットエンジンや質量のあるものを並走させるという案も同様。
基本的には対象となる小惑星の質量次第です。
そう考えると、上記の対策はいずれも不十分。
巨大スペースコロニーの建設や移住できる天体の確保など、もっと根本的な対策が必要なのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、小惑星2024YR4についてご紹介しました。
2025年2月時点における衝突の可能性は1.2%。(ESA発表)
高い値ではないものの、万が一衝突となれば、1908年にロシアで起きたツングースカ大爆発以上の破壊力が予想されます。
衝突の可能性がある2032年12月22日まではまだ時間があるので、各国で協力して万が一に備えてほしいところです。
<スポンサーリンク>
コメント