小惑星2024YR4が月に衝突する確率は4%!NASAとESAが最新の試算を発表

小惑星2024YR4が月に衝突する確率は4%!NASAとESAが最新の試算を発表 人類の宇宙開発

一時は地球に衝突すると騒がれた小惑星2024YR4ですが、今度は月に衝突する可能性が浮上してきました。

これはNASAとESAが発表したこと。

果たして月に衝突する確率はどれくらいなのか?衝突した場合、地球に影響はないのか?

この記事では、これらについてご紹介します。

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小惑星2024YR4とは

小惑星

2024YR4とは、2024年12月27日に小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS; Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)によって発見された小惑星です。

2025年2月には、3.1%の確率で2032年12月22日に地球に衝突すると報じられ、世界中が騒然となりました。

小惑星2024YR4のサイズは、推定直径約55メートル(10階建てのビルより大きい)、質量約22万トン。

地球衝突時の速度は、秒速17.3kmになると言われています。

そんな小惑星2024YR4が地球に衝突した場合の威力は、TNT換算で5~50メガトンと言われています。(5メガトンで広島型原爆の約330倍)

人類滅亡とまではいかないまでも、街の一つや二つは消滅するレベル。

万が一避難行動が遅れれば、大勢の死傷者が出ます。

このような大惨事が想定されるため、たとえ3.1%といえど大騒ぎになったわけですが・・・

その後すぐに「地球に衝突する確率はゼロになった」と発表されたため、大きな混乱にはなりませんでした。

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小惑星2024YR4は月に衝突する?確率は?

月

地球に衝突する危険性がなくなったと報じられたことで急速に話題性を無くしていった小惑星2024YR4。

しかし、2025年4月3日、NASA(米航空宇宙局)が、「約4%の確率で小惑星2024YR4が月に衝突する」と発表しました。

この衝突確率は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の最新データによって導き出されたもの。

ESA(欧州宇宙機関)も同様の見解を発表していることから、2025年4月の時点で約4%という確率に間違いはないようです。

4%という確率は高確率ではありませんが、かといって楽観できる数字でもありません。

少なくとも、一般的な携帯ゲームにおける「ガチャ」で最高クラスのキャラクターを引き当てるよりも高い確率。

実際、4%といえば、的中したとしてもまったく不自然ではない確率です。

小惑星2024YR4が月に衝突する確率は下がっていくはず

月への衝突が懸念される小惑星2024YR4ですが、ほとんどの研究者は「月に衝突することはない」と考えているようです。

というのも、小惑星が近づいてきてより多くのデータが得られるようになると、それに応じて衝突の可能性が下がっていくというのがこれまでの通例だから。

約4%という確率は普遍的なものではなく、流動的な数値なのです。

実際、小惑星2024YR4が地球に衝突すると騒がれた時も、当初発表された確率は1.2%でした。

その後3.8%まで上昇しましたが、すぐに0%へと下がっています。

同様のことは今回も起きると思われるため、「月への衝突はない」という意見が大半なのです。

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2024YR4が月に衝突した場合の影響

月は地球に影響を与え、生物が暮らすのに適切な環境を作りだしています。

そんな月に小惑星が衝突するとなれば、地球への悪影響が懸念されるわけですが・・・

科学者によると、仮に小惑星2024YR4が月に衝突しても、地球環境への影響はないとのこと。

いくら月が地球より小さいからといって、55メートル程度の小惑星が衝突したところで、軌道が変わったり大きく欠けたりはしないのです。

ただし、2024YR4のような数十メートル級の小惑星が実際に月面に衝突し得るわけで、月面基地をつくろうとしているNASAやJAXA、ESAにとっては深刻な問題。

地球と違って月には大気がないので、小惑星が大気圏内で燃え尽きることはなく、ほぼそのままの質量と勢いを保って月面に衝突します。

そのため、月面基地は月の地下に造られることになるでしょう。

衝突によって月の軌道が変わったら大惨事になる?

小惑星2024YR4の影響で月の軌道が変わることはありません。

CNEOS(地球近傍天体研究センター)でマネージャーを務めるポール・チョーダスは、「月は大きいので、軌道を変えるには高速でぶつかる巨大な天体でなければならない」と述べています。

NASAによると、太陽系内に存在する最大の小惑星の質量は月の70分の1以下とのこと。

太陽系外には月と同サイズの小惑星があるかもしれませんが、現在のところ月に向かってきているそのような天体は発見されていません。

では、仮定の話として、万が一月が軌道を変えた場合はどうなるのか?

変わった後の軌道にもよりますが、月が地球の衛星でなくなる可能性もあり、その場合、次のような影響が考えられます。

  • 潮の満ち引きが少なくなる
  • 1日が長くなる
  • 季節がなくなる
  • 皆既日食が見られなくなる
  • 地球に小惑星が衝突する確率が高くなる
  • 地球の地軸の傾きが不安定になる

上記で恐ろしいのは、「地球に小惑星が衝突する確率が高くなる」ことと、「地球の地軸の傾きが不安定になる」こと

月の裏側(地球からでは見えない部分)には、無数のクレーターが存在します。

これは、過去において月に小惑星が何度も衝突した証拠。

もし月が存在しなければ、そのうちのいくつかは地球に衝突していたかもしれません。

いわば月とは、地球にとって盾であり、その月が衛星でなくなれば、地球はガードを失うことになります。

また、地球の地軸の傾きが不安定になることで、気候変動や異常気象がおこると考えられています。

台風の巨大化や気温の変化はもちろんのこと、火山噴火や地震の増加につながる可能性も。

変化後の月の軌道がどうであれ、現在の地球とは異なるものになるのです。

ちなみに、NASAによると、月は1年に約3.8㎝という速度で地球から遠ざかっているとのこと。

これは、アポロ計画で宇宙飛行士が月面に設置した鏡に地上からレーザーを当てることで測定された数値。

我々の孫やひ孫世代には何の影響もありませんが、数億年あるいは数十億年後には、月は地球の衛星ではなくなってしまうのです。

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小惑星の衝突を回避する方法はあるのか?

宇宙空間を漂う小惑星のサイズは大小様々。

なかには映画「アルマゲドン」に登場するような巨大な小惑星もあるはずです。

そのサイズの小惑星が月ならまだしも、地球に衝突するとなれば、人類を含むあらゆる生物にとって滅亡の危機。

可能性がゼロとはいえないだけに、人類は衝突回避の方法を準備しておかねばなりません。

この方法について、2025年時点で検討されているのは次の5つです。

  • レーザーで破壊する
  • 核兵器で破壊する
  • 別の小惑星による引力でコースを逸らす
  • 人工衛星や宇宙船をぶつけてコースを逸らす
  • 小惑星にロケットエンジンを取り付けて軌道を変える

上記のなかで特に有望なのは、「人工衛星や宇宙船をぶつけてコースを逸らす」という方法。

実は2022年にNASAによってすでに実験が行われており、小惑星の軌道を逸らすことに成功しているのです。

この実験はDARTミッションと呼ばれるもの。

冷蔵庫ほどの大きさの無人探査機「DART」を、小惑星「ディディモス」の周りを公転する小型小惑星「ディモルフォス」に衝突させることで、軌道を変えることに成功しているのです。

冷蔵庫サイズの無人探査機でも一定の効果があるのですから、補強をほどこした宇宙船をぶつければ、より大きな小惑星であっても軌道を変えられることでしょう。

また、小惑星にロケットエンジンを取り付けて軌道を変えるという方法も興味深いところ。

小惑星に接近するのは難しそうですが、いざロケットエンジンを取り付けてしまえば、衝突コースから逸らすことは簡単でしょう。

この方法であれば、取り付けるロケットエンジンの規模次第でかなり大きな小惑星も逸らせるはず。

地上から巨大なロケットエンジンを何機も打ち上げるのは大変ですが、月面基地から打ち上げられるようになれば、一気に現実味が増します。

人類は宇宙開発にもっと予算をつぎ込むべきではないか?

宇宙船

NASAやESA、JAXAといった機関に共通している問題点は、予算が少ないということ。

宇宙開発には莫大なお金がかかりますが、それに見合った成果や報酬がすぐに得られるわけではありません。

アメリカがアポロ計画を打ち切った理由の一つも、この予算の問題だと言われています。

このように、どの国も経済対策や軍事費の方に予算を割き、宇宙開発は後回しになりがち。

たしかに経済対策や軍事費も大事だとは思いますが、前述したように地球との衝突コースに入ってくる巨大小惑星がいつ現れるか分かりません。

というより、遅かれ早かれ地球に巨大小惑星が衝突する日がやって来ます。

それは、地上に残された巨大クレーターが物語っていること。

そんなXデーが間近に迫ってから焦って宇宙開発を開始しても手遅れなのですから、毎年しっかり予算を割いて、着実かつ迅速に進歩させていくべきではないでしょうか。

近年ではイーロン・マスクやロバート・ビゲローといった大富豪が宇宙開発に参画していますが、こうした民間からの資金も活用しつつ、宇宙開発を加速させてほしいと私は常々思っています。

まとめ

この記事では、小惑星2024YR4についてご紹介しました。

当初は地球に衝突する可能性があると言われていた小惑星2024YR4。

しかしその後の分析によって、月に衝突する可能性が浮上してきました。

この小惑星が月に衝突したとしても、地球環境に影響がでないのは幸い。

とはいえ、地球や月に巨大な小惑星が衝突する可能性は多少なりともあります。

そんな日が目前に迫ってから宇宙開発を急ぐのではなく、毎年しっかりと予算を投入して地道に進歩させていって欲しいところです。

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